Intelは2026年のCESにあわせてコード名Panther LakeことIntel Core Ultra Series 3を発表しました。
この製品は世界初の2nmノード Intel 18Aで製造される最新世代のロジックプロセッサです。しかし、CPU自体に加えて、メモリ、ストレージの供給、搭載製品の開発状況など様々な、状況から搭載製品が本格的に出回るのは春頃になるようです。
2nmノードで製造される新世代製品として注目ですが、プロセッサの機能としては、新命令を搭載する次世代製品Nova Lakeの方が演算性能という面では注目されます。
AMDがAVX-512機能で優位に
モダンなCPUにはAVX(Advanced Vector Extensions)という、CPUが複数のデータを一つの命令で同時に処理する「SIMD (Single Instruction, Multiple Data)」に対応しています。
Intelの場合、クライアント用プロセッサで512bit幅に対応するAVX-512を第11世代Coreプロセッサ(Rocket Lake / Tiger Lake)で対応しました。
しかし、次の第12世代Coreプロセッサ(Alder Lake)から、Pコア、Eコアのハイブリッド構造になり、EコアにAVX-512を搭載していないため、PコアでのAVX-512が無効化されました。
その後の、今回のPanther Lakeまで、クライアント製品でAVX-512に対応しない状況になっています。
その後、AMDは2022年のZen 4 (Ryzen 7000シリーズなど)で物理的には256bitですがAVX-512に対応。そして、2024年のZen 5 (Ryzen 9000シリーズなど)では物理的にもAVX-512に対応しました。
しかも、AMDのAVX-512の方が消費電力などではIntel版よりも性能が高いという状況でした。
つまり、2024年の最新プロセッサからは、AVX-512などのベクトル演算をする場合に、そもそも搭載していないIntel対、搭載しているし以前のIntel版よりも圧倒的に高性能な機能を搭載しているAMDプロセッサという状況になりました。
科学技術演算、暗号計算、AIの推論、一部のエミュレーターなど様々な用途でAVX-512関連機能は注目されています。
Intelの攻勢 AVX 10.2へ
IntelがAVX-512を非対応にした一番の理由は、PコアとEコアのハイブリッド構造になったことですが、何もしなければAVX-512関連の命令が実行出来ない状況が続いてしまいます。
そこで、Eコアでも512bit命令を実行出来るAVX回路としてAVX 10.2が2027年頃リリースされる予定のNova Lakeに搭載されます。
この1つ前のAVX-10.1は512bitのPコア向けだけですが、サーバー向けのGranite RapidsからXeon 6製品に搭載されています。
名称自体はAVX-512ではありませんが、AVX-512の命令やFP8、BF16、INT8 VNNI、FP16 VNNIなどにも対応する新命令セットになります。
Eコアでも512bitに対応するため、Pコアは物理的に512bitで1回で演算、Eコアは物理的に256bitですがダブルポンピングという手法で2回に分けて演算します。これによって、512bitのAVX命令をすべてのコアで演算出来るようになり、ロジック回路の改良もされているでしょうから、従来問題だった消費電力の問題も改善されていることが推定されます。
| コード名 | AVX-512関連 | ||
| Tiger Lake | AVX-512 | Pコアのみ | クライアントPCでの初対応 |
| Alder / Raptor Lake | 非対応 | ハイブリッド化により無効化 | Eコアが未対応のため |
| Lunar / Panther Lake | 非対応 | NPUを強化 | |
| Nova Lake (予定) | AVX10.2 | 両コアで512bit命令実行可 | Eコアはダブルポンピングで対応 |
Nova LakeはTSMCでも製造へ
Panther LakeのコンピュートタイルはIntel 18Aで製造されますが、Nova LakeはIntel 18AとTSMCが製造します。ハイエンド版をTSMCが、それ以外のIntel 18Aで製造する計画とされているそうです。Intel 18Aは供給が不安視されていますが、約1年かけて歩留まりも向上することが期待され、さらにTSMCのN2ノード向けにもテープアウトしているため、プロセッサ自体の供給体制は問題無さそうです。
おそらく、Intel Core Ultra Series 4となるNova Lakeは、コンピュータの演算性能という面で、一段階進化というかやっと元に戻るので、今後の動向に注目してみましょう。






