Intelの主要モバイル向けプロセッサは2023年末にリブランドし、Copilot+ PC対応の製品も登場していますが、他社のプロセッサの関係やCopilot+ PCの状況もあり、各製品が微妙な位置づけになっており、Intel混迷の象徴的な状況になっています。
SoCのCPUやGPU性能、省電力性能などはともかく、NPU性能がCopilot+ PCに準拠出来るモバイル版のIntel製品はLunar Lake(Core Ultra Series 2 V)のみになっています。
そんな中でもMeteor LakeとPanther Lakeが2025年から2026年にかけてのIntelの主要モバイルプロセッサではないでしょうか。
Intelの2023年から2026年の主要モバイル向けプロセッサ
コード名 | 製品名 | 主タイル製造 | NPU性能 | 提供開始時期(実質) |
Meteor Lake | Core Ultra Series 1 | Intel | 11 | 2024年 |
Lunar Lake | Core Ultra Series 2 V | TSMC | 48 | 2024年中盤 |
Arrow Lake | Core Ultra Series 2 HX, H, U | TSMC | 13 | 2025年 |
Panther Lake | Core Ultra Series 3? | Intel | ? | 2026年 |
Copilot+ PCのハードウェアとソフトウェア
Copilot+ PCはMicrosoftが2024年中盤から始めた、オンデバイスでAI機能が使えるPCです。
まずはQualcommのSnapdragon Xシリーズ向けにOSのサポートが始まり、IntelやAMDのx86向けサポートが本格化したのは2025年に入ってからです。
ユーザーとしては2025年にx86でCopilot+ PC機能がようやく使えるようになり、他の関連AI機能もそこまで多くはなく、オンデバイスでAIが使える優位点はそこまで多くはないため、2025年に慌ててCopilot+ PC対応する製品を買う必要はありません。
しかし、今後Copilot+ PC関連機能含めたAI機能が増え、より有益な機能が使えるようになった場合、NPU性能が高いCopilot+ PCでなければAI機能が使えません。2025年に将来性を考えてPCを購入する場合ならCopilot+ PCになります。
そうでは無い選択肢を選ぶ場合、オンデバイスのAI機能やCopilot+ PC機能を使わない前提となります。
多くのAI関連機能はクラウドで提供されているので、当面問題ありませんが、今後オンデバイスのAI機能が充実した場合にどうなるかは不明です。
Meteor LakeとPanther Lake、そしてLunar Lakeの関係
インテルのモバイル向けプロセッサとしては、2021年に投入されたAlder Lakeの後継となるMeteor Lakeが2024年からの主流で、それに続く派生製品としてLunar LakeやArrow Lakeがあります。次の真の主流製品と期待されているのが2026年に本格投入が期待されるPanther Lakeです。
Lunar LakeはCopilot+ PCであることなど、一定以上の性能はありますが、Intelの主流製品ではないようです。PCベンダーからみると、Meteor Lakeは採用してもLunar Lakeはスキップして、次はPanther Lakeを考えているところも多いようで、2025年中盤になってもLunar Lake採用機種が増えないことからわかります。
モバイル版は、NPU性能が40 TOPS以上でCopilot+ PCに対応できるLunar Lakeが提供されましたが、メモリとSoCが一体化するSoM(System on Module)という新しい構造を採用しています。このような新構造のテスト的な意味もありますが、Lunar LakeはあくまでもMeteor LakeとPanther Lakeの間を埋める製品で、さらにMicrosoftの新しい取り組みにまずは対応する製品として提供されている意味合いが強いと考えた方が良さそうです。
他にArrow Lakeがあります。こちらはゲーミングPCなどのハイエンド用途やデスクトップ製品で採用される製品で、NPUを搭載していますが、NPUの性能がCopilot+ PCの基準を満たしていません。
デスクトップ版の場合、2022年のRocket Lake、2024年のArrow Lakeが登場、2026年にはNova Lakeが予定されているようですが、AMD製品などと比較するとなかなか微妙な位置づけになっています。
どちらにしても、Lunar Lake、Arrow Lakeは主要なタイルがTSMC製造です。チップ自体の製造がIntelである必要はありませんが、従来は少なくとも製造自体では最先端を走っていたIntelが、自社の製品を自社のファブで製品していないという状況こそが混迷していることを象徴しているとも思えます。
まずは、2026年にPanther Lakeがしっかりと出荷され、多数の製品で採用されることが期待されます。