Intelは2024年10月10日、デスクトップ版のインテル Core Ultra プロセッサー 200S シリーズ(コード名 Arrow Lake-S)を発表した。
Core Ultra(シリーズ1)で導入されたチップレット(タイル)技術が、デスクトップ版のインテルプロセッサーとして初めて導入されたもので、今後のハイエンドノートパソコン用などにも別バリエーションとして提供される予定。
Meteor LakeとLunar Lake、そしてArrow Lakeは
Meteor LakeはCore Ultra(シリーズ1)として2023年12月に提供され、Lunar LakeはCore Ultra(シリーズ2)として2024年9月に提供された。
Meteor Lakeは4つのタイルをベースタイル上に並べる構造で、Lunar Lakeは2つのタイルをベースタイルに並べ、メモリを同一モジュール上に搭載するSystem on Moduleとなっている。
Lunar LakeのCPUコアのアーキテクチャが強化されている。各コアの性能が大幅に向上、ハイパースレッディングがなくなったため、コア数がスレッド数になり、消費電力が大幅に低下している。
Arrow LakeはこのLunar Lakeと同じCPUコアアーキテクチャを採用しているため、性能向上、消費電力低下などの効果が高い。
一方で気になるのが、NPU性能だ。NPU性能はMeteor Lakeが11 TOPS、Lunar Lakeは48 TOPSだが、Arrow LakeのNPUは基本的にMeteor Lakeと同じ13 TOPSとなっている。
2024年10月現在で、WindowsのCopilot+ PCの要件はNPUのTOPS値が40以上となっていて、最新のデスクトップPCのプロセッサがCopilot+ PCの要件を満たさない。それなら、プラットフォーム全体のTOPS値をみても、外付けGPUを接続しない場合で36 TOPSにとどまる。今後は、Copilot+ PCの動作に必要なWindows Copilot RuntimeがGPUでも動作するようになるとしているが、それでも全体で40 TOPS以下なのはどうなるだろうか。
今後、Copilot+ PCの要件が変わることもあるかもしれないが、デスクトップ製品向けのAI関連機能には疑問符がついた状態となる。
Tile | 製造 | |
Compute tile | P-core Redwood Cove E-core Crestmont | Intel 4 (7nm) |
Graphics tile | TSMC N5 | |
SoC tile | Wi-Fi 7 Thunderbolt 4 AV1 encode/decode Low E-Core NPU 3 | TSMC N6 |
I/O tile | TSMC N6 | |
Base tile | Intel 16 (22nm) |
Tile | 製造 | |
Compute tile | P-core Lion Cove E-core Skymont H.266 VCC decode NPU 4 | TSMC N3B |
Platform controller tile | Wi-Fi 7 Thunderbolt 4 | TSMC N6 |
Base tile | Intel 16 (22nm) |
Arrow Lake-S
Arrow Lake-Sの特徴は、Intelのデスクトップ向けとして初めてNPUを搭載した点などにくわえて、Lunar Lakeと同じCPUコアが使われている点で、Raptor Lake-R(第14世代Core)に比べて、同じ性能なら大幅に消費電力やCPUの温度を下げられる点。
NPUは13 TOPS、CPUの15 TOPS、GPUの8 TOPSとあわせると、合計36TOPSとなる。
Tile | 製造 | |
Compute tile | P-core Lion Cove E-core Skymont | TSMC N3 |
Graphics tile | TSMC N5 | |
SoC tile | Wi-Fi 7 Thunderbolt 4 AV1 encode/decode Low E-Core NPU 3 | TSMC N6 |
I/O tile | TSMC N6 | |
Base tile | Intel 16 (22nm) |
Arrow Lake-H、Arrow Lake-HX
ハイパフォーマンス向けの製品や、ゲーミングPCやクリエーター向けの製品としてArrow Lake-HやArrow Lake-HXが2025年第1四半期に登場予定。
Arrow Lake-HXはArrow Lake-Sの上位版。Arrow Lake-Hはハイエンドノートパソコン版で、Arrow Lake-SよりGPU性能などが上がる。
NPUがどうなるのか、Arrow Lake-Sなどでは利用出来ない、SoCタイル内にある、LP-E core(Low Power Efficiency Cores)がどうなるのかなどが気になるところですが、2025年1月のCESにあわせて情報が公開されるかも知れません。