Computex 2024から考えるノートPCの選び方

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Qualcomm Snapdragon X

毎年6月初旬に台湾の台北で行われているIT関連の展覧会のComputexですが、2023年から盛り上がっているAI関連のハードウェア等が各社からでそろいつつあり、新製品やサービスを投入しているため例年にない盛り上がりとなっています。

その中で、PC関連だけで見ても、QualcommのSnapdragon Xシリーズ搭載のノートPC、AMDがNPUを搭載する製品をRyzen AIへとリブランドして投入、前週に発表されたMicrosoftのCopilot+ PC関連製品も多く、NVIDIAはサーバー関連だけでなくGeForceの新製品は発表しなかった物の、関連サービスなどを発表。インテルは2024年第3四半期に出すという次世代製品をアピールするなどしています。
ノートPC自体もプレミアムモデルは、より性能を向上。メインストリーム製品が限り無くプレミアムに近く、ゲーミングPCやクリエイター向けのPCも従来以上に薄型軽量になるなど、各製品が一段階レベルアップしています。

そんな中で2024年夏を中心に、今後のノートPCの選び方のポイントを考えてみます。

AI関連は1年後には状況が全く変わるかも

WindowsでAI関連機能が使えるCopilot+ PC関連は、2024年6月の提供当初は言語が限られる場合もあるなど、完璧な機能としては提供されないようです。
そのため、今後数ヶ月で徐々に実用的になっていく事を許容できる人以外は、真っ先に対応機器を選ばない方が良いでしょう。

今後は新しい機能なども追加されていくでしょうが、それがどうなっていくのかなども不明です。WindowsのAI関連機能は、当面SoC内のNPU機能で動作しますが、Windows Copilot RuntimeはGeForceなどにも今後対応していくことは発表されたので、機能自体はより多くの製品で利用出来るようになっていくのかも知れません。

そのNPU機能などは各社が特に力を入れているため、毎年のように状況は変わっていくでしょう。
2024年6月時点ではNPU性能が高いのはAMD Ryzen AIの50TOPS、Qualcomm Snapdragon Xの45TOPSですが、NVIDIAのGPUに比べると1/10程度の性能であって、AI関連自体の絶対的な性能はそこまで高くはないです。

Intel Lunar Lakeその他はどうなる

インテルのモバイル版次世代製品のLunar Lakeの情報は多少出てきましたが、肝心な提供時期が発表されていません。
2024年第3四半期に正式に発表されるそうなので、7月から9月までに発表、発売はその後なのかもしれないため、2024年末くらいには搭載製品は登場するようです。

Lunar Lakeはすべてのノートパソコンをカバーする製品ではなく、低消費電力で動作する物になるので、従来のパフォーマンスを重視するプレミアムモバイル製品には搭載されないだろうことが予想されます。
一方でより薄型軽量、長時間駆動の製品を設計しやすくなるので、メインストリームのモバイル製品の勢力図はかなり変わるかも知れません。

Arm関連はどうするか

Arm関連はパフォーマンス面では問題なくなったように見えますが、最も気になるのがソフトウェアの互換性です。
AdobeのCreative Cloudのように対応が遅れているソフトも少なくありません。
これらの件に関してComputex 2024では特に言及されなかったので、いつ本当に対応するのかは謎のままです。

Chromebookはどうなる

Chromebookは基本的にクラウド側でサービスを提供しており、クライアント側の性能はそこまで必要ではありません。
そんな中で、NPUを搭載するIntel Core Ultra搭載モデルも登場しますが、Core Ultraならではの機能は生かせない事になります。

ベストバイの製品はどんなものか

2024年末ころまで、PC関連の様々な機能を使いたい場合のベストバイは、AMD Ryzen AIとGeForce RTX搭載製品となるでしょう。
AMD Ryzen AIはソフトウェアの互換性能問題がなく、NPUも搭載しているのでCopilot+ PC関連の機能も当初から使えます。さらにGeForce RTX搭載モデルなら、AI関連のより高度な機能も利用可能です。
さまざまなNPUを使ったAI機能はもちろん、GPUを使った機能も動作することが期待されます。
GeForceまでは必要ない場合は、AMD Ryzen AI搭載モデルなら、Copilot+ PC機能がそのまま使えるので普通に使うノートPCなら問題ないでしょう。日本での提供はこの夏になりそうです。

面白そうなのは、Snapdragon X搭載製品ですが、あくまでもArmになるので今後も当面ソフトウェア互換性問題が残ります。
それでも、各社力を入れた新製品が出てくるので、ソフト問題がなく、今後を期待したい場合には面白い選択肢になるでしょう。

Intel関連では年末に低消費電力版のLuner Lake搭載製品がいくつか出てくるようですが、デスクトップやハイエンドゲーミングPCなどの高性能機器向けにもArrow Lake搭載製品は提供されそうです。2024年末から2025年初旬の購入を考えている場合は、これらの製品も選択肢に入ってきます。
そして、1年後の2025年にはLunar Lakeの後継と目されるPanther Lakeも登場するようです。
Luner Lake自体はハイパースレディングに対応しないなど、従来とは大幅に機能が変わる部分もあり、今後の情報に注目しましょう。

2024年夏のPC購入まとめ

すぐに最新の高性能な物が欲しい場合 AMD Ryzen AIとGeForce RTX搭載製品
ゲーミングなどは特にいらないが高性能な物が欲しい場合 AMD Ryzen AI搭載製品
将来含めた新しいプラットフォームを体験したい Snapdragon Xシリーズ搭載製品
次の購入タイミングが2024年末から2025年初旬の場合 Intel含めた各社の動向に注目