ノートパソコンの開発するは、基盤や筐体など様々な項目があり、どこまで何を開発するかによりますが、少なくとも億単位になります。どこかの会社が開発したマザーボードに、CPUやメモリとストレージ、液晶などのディスプレイにキーボードや筐体を組み合わせて終わりという単純な物ではありません。
自社で一から開発している場合、マザーボードや筐体のような基本的なパーツから開発しています。さらに、それらの電気的特性を試験して問題ないかを確認する事は当然として、開発した筐体と組み合わせた場合の、落下試験など自社で設定した様々な試験をクリアした製品が販売されています。
他にも、発生するノイズに関する試験、搭載しているWi-Fiなど無線関連の試験、温度や湿度、ホコリなどの耐性、振動などの試験も行われており、どこまで何の試験を行っているかによって、製品の長期的な品質が変わってきます。
一般的にプレミアム製品とされる物ほど、多数の試験をクリアした高品質な製品です。各社どこまで試験しているかは公開していませんが、カタログスペックは同じでも、価格の高い物ほど多数の試験にクリアしているのが一般的です。
ASUSの場合はどうか
製品品質をチェックする際に、使用している各パーツの品質に加えて、製品設計が重要になります。
ノートパソコンの場合、筐体に組み込んだ状態で、液晶パネルの開け閉めでヒンジがへたらないか、落下時に故障しないか、振動などの試験がありますが、ASUSの品質チェック体制は、本社内にある品質チェックセンターで主に行われていますが、このセンターは、少なくとも私が何社か見学した中でも、かなり充実した試験体制になっています。
台湾にあるASUSの新本社は2019年に建てられましたが、ここの1階にある品質チェックセンターは規模も、試験内容もかなり充実しています。
いくつかの試験項目があり、その中で気温・湿度テスト、落下テスト、振動テスト、衝撃テストなどを見学しましたが、品質をアピールしている国内他社と同等かそれ以上の体制になっているようです。
他にも、ヒンジテスト、キーボード耐久テスト、周辺機器の抜き差しテスト、ねじれテスト、パネル精度テスト、高度テスト、パネル圧力テスト、ノイズ・オーディオテスト、EMIテスト、振動テストなどがあるようで、センター内にある部屋の表示を見る限り、さらにいくつかの項目でも試験を行っているようです。
この品質チェックセンターは独自に試験しているだけでは無く、TAFという台湾の認証を得ている試験センターで、検査した内容は政府のお墨付きというのもポイントの一つです。TAFという認証自体も国際的に認証されている物のようです。
つまり、○○cmからの落下、○○kgの耐圧などは外部機関により正式に認証された結果ということになるようです。
MIL規格に準拠したTUFシリーズなどが充実しているのも、このような充実した品質チェックセンターが社内にあることが関係しているようです。
少なくともこの充実した試験環境があれば、より品質の高い製品開発にはかなり貢献するはずです。
品質チェックセンター自体はこの建物が建設される前からあったようで、ASUSはノートパソコンに本格参入したのが1997年、品質の厳しい日本市場に参入したのが2006年。試験内容やノウハウは20年近い経験があるはずで、製品のクオリティは年々向上していると思われます。
実際の製品にどこまで活かされているかは、コストを抑えながら、どこを妥協しているかなどによっても、製品品質は変わってくるのので一概には言えませんしわからないですが、チェック体制自体は他社に引けを取らない物だということは確実でしょう。