2024年のPCのキーワードはAI PCとWindows on Arm

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2024年のPC、特にノートパソコン系で注目のキーワードはAI PCとWindows on Armです。
NPUを搭載するインテルのCore Ultraなど、AI機能に対応する製品AI PCが多数登場します。そして、QualcommのSnapdragon X Eliteでようやくx86形にパフォーマンス面で追いつくWindows on Armがようやく本格化へ動き出すかもしれないという点です。

AI PC

2023年末に登場したインテルのCore Ultra、2023年から提供されているAMDのRyzen 7040シリーズや、2024年に採用製品が登場する予定のRyzenn 8040シリーズはNPUを搭載しています。後述するSnapdragon X Eliteも搭載しています。
NPUとは、AI関連で使用する主に推論(Inference)の演算に特化したNeural Processing Unitです。

従来のAI関連機能は主にゲーミングPCなどに搭載されるGPUのNPU機能を使うか、クラウド側で使うしかありませんでした。NPUを搭載すれば、一般的なノートパソコンでもインターネットに接続せずにAI関連機能が使えるようになります。
ただし、AI関連を使うソフトがこれに対応することが必須で、2024年初旬時点でこれに全面的に対応するソフトはほとんどありません。

2024年にNPU搭載製品が多数登場する事で、対応ソフトも増えると思われますが、どうなるか、実際のパフォーマンスはどうなのかは全く不明です。

AI PCという呼び方も、特に何か業界内での統一した基準があるわけではありません。
一般的にはNPU機能があればAI PCのようですが、Core UltraやRyzen 8040のようにNPUがあるSoCを使用していればAI PCとする場合もあれば、GPUのNPU機能があればAI PCとする場合もあるようです。

NVIDIAのGeForce RTX 40シリーズのようなGPUのNPU機能は、Core UltraなどのNPU機能よりも圧倒的にパフォーマンスが高いです。
AI性能の指標となるTOPS(Tera “trillion” Operation Per Second)は、1秒間に何兆回の演算が出来るかをあらわせています。Core Ultraなど、NPU含めたシステム全体で40 TOPS前後です。デスクトップPC版のGeForce RTX 4080 SUPERは836TOPSです。
65WのACアダプタはもちろん、バッテリー駆動もするノートパソコンと、800Wの電源などが必要なデスクトップシステムとは比較対象に出来ませんが、AI性能は各機器によってかなり差が出てくるかもしれません。

NPUの機能だけで無く、AI機能を活用するソフトウェアを開発するには、関連ツールの充実も必要です。インテルはOpenVINO、AMDはRyzen AI Softwareを提供するようですが、この使い勝手や機能も重要になるでしょう。

少なくとも、NPU関連機能を搭載したハードウェアは徐々に浸透し、ソフトウェアの対応も徐々に増えるのは確実です。
それがどうなっているかが2024年に注目となります。

Windows on Arm

Arm版Windows(Windows on Arm)は以前から提供されていますが、2020年に登場したAppleのApple Silicon M1は、インテルのCoreなどのx86と比べたパフォーマンスは追いつき、ワット当たりパフォーマンスではかなり上回る状況になりました。
Windows PC用として主に採用されていたQualcommのSnapdragonはそれに比べるとパフォーマンスが圧倒的に低かったという問題がありました。

様々な問題があったのでしょうが、対応機器も増えず、対応ソフトウェアもなかなか増えないという状況でしたが、2024年後半頃に登場するだろうSnapdragon X Eliteでようやくハードウェア面の問題が解消しそうです。

事前に伝えられている情報ではインテルのCoreなどのx86と比べて各種パフォーマンスは見劣りしない物となるようです。
対応製品がどの程度提供されるかによりますが、パフォーマンスに問題が無ければ、対応機器購入自体の問題の一つは解消されます。

Windows on Armでの問題の一つは対応ソフトの少なさです。
エミュレータでの対応は可能ですが、Armネイティブに対応するソフトが増えなければ、ハードは良いけど、ソフトが無いから使えない状況になってしまいます。

GoogleはArm版ChromeのCanary(試験運用版)の提供を2024年1月初旬に始めました。
今後このような動きが続いていけば、いつも使っているソフトがArmにネイティブ対応して、Arm版Windows導入の問題が無くなるかもしれません。

本当にそのような状況になるのかが注目されます。