Appleは日本時間2023年9月13日、iPhone 15シリーズを発表しました。
このiPhoneに使われているSoCのApple A17 Proから、おそらく次世代Macに使われるだろうM3の性能を予想します。
A17 Proは、Appleが言うところの3nmプロセス(TSMC N3)で製造され、190億トランジスタで、2つのハイパフォーマンスコア、4つの高効率コア、6コアのGPU、16コアのNeural Engineを搭載しています。
2022年に発表されたiPhone 14 Proシリーズに採用されているApple A16 Bionicは、Appleが言うところの4nmプロセス(TSMC N4P)で160億トランジスタです。
Appleは2022年から、iPhoneのハイエンドシリーズに最先端の半導体製造プロセスで製造されたSocを採用し、下位モデルのiPhoneは1年前のSoCを採用していることがわかります。
半導体の製造プロセスでは2010年代後半からTSMCが半導体製造メーカーの中でも最先端のプロセスを導入していますが、Appleは毎年その最先端プロセスで製造されたSoCを最新のiPhoneに提供できていました。2022年からは出荷するiPhone(年間2億台以上)の全量を最先端プロセスのSoCでは供給できなくなったから、何らかの理由で最先端プロセスで製造されたSocの採用は上位モデルだけの状態になっているようです。
Mac向けのMシリーズは、発表時のiPhoneで採用している最新の製造プロセスで、同じCPU、GPUコアが使われています。
Mシリーズの場合はAシリーズとは違い、毎年最先端プロセスを導入しているわけではありません。
A17 Pro | A16 Bionic | A15 Bionic | M2 | M1 | |
2023年9月 | 2022年9月 | 2021年9月 | 2022年6月 | 2020年11月 | |
製造プロセス | TSMC N3 | TSMC N4P | TSMC N5P | TSMC N5P | TSMC N5 |
ダイサイズ(mm2) | 108? | 108? | 108? | 155? | 120? |
トランジスタ密度(MTr/mm2) | 176? | 148? | 138? | 129? | 130? |
トランジスタ数 | 190億 | 160億 | 150億 | 200億 | 160億 |
ハイパフォーマンスコア数 | 2 | 2 | 2 | 4 | 4 |
高効率コア数 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 |
GPUコア数 | 6 | 5 | 5 | 10 | 8 |
Neural Engineコア数 | 16 | 16 | 16 | 16 | 16 |
仮に、Macの次世代製品が、2024年に発表される場合で考えてみましょう。
iPhone 15 Proと同じTSMC N3や同等プロセスが採用される可能性があります。この場合、CPUやGPUなどもA17 Proと同じコアが採用され、レイトレーシングなどに対応するGPUなど、ゲーム性能もかなり強化される製品になる可能性があります。
仮にA17 Proのトランジスタ密度が、176MTr/mm2だった場合で、ダイサイズがM2と同じ場合は270億トランジスタになります。トランジスタ数は1.4倍なので、CPUやGPU、Nural Engineなどが大幅に増えるかも知れませんが、A16からA17はトランジスタ数の増加に比べて、コア数の増加が少なく、各コアの強化等に増えたトランジスタを使用しているようです。
A17 Proのダイサイズが小さくなっている場合で、トランジスタ密度が220MTr/mm2の場合、M1と同じダイサイズでも265億トランジスタ程度になります。
M3世代は性能は強化しつつ、M2世代よりもバッテリー駆動時間が延びるような事もあり得ます。
2023年末に販売するiPhoneで3nm世代が間に合った状況を考えると、2024年に発売するiPhoneでは一般的に2nmと言われているGAAなどを採用するプロセスへの移行は間に合わないでしょう。早くても2025年、Mシリーズの場合は2026年になるかも知れませんが、その頃にもTSMCが全量Apple向けのSoCを製造しているとも限りません。