2023年より本格的にWindows PCでもNPUが搭載されようとしています。
NPUは(Neural network Processing Unit)の略で、従来の汎用性があるCPU、グラフィック関連のGPUに加えて重要になるAIアクセラレータなどの名称でも知られるAI関連のプロセッサのことです。
このNPUは2023年より順次Windows PCにも順次搭載されます。その動き自体は2022年からありますが、本格化の先駆けとなるのがAMDのRyzen AIを搭載するRyzen 7040シリーズ搭載製品となります。
これらの製品では、Webカメラの背景切り抜きや音質向上などなどにNPUが使われるようになるそうですが、従来からある用途をNPUがやるだけで目新しさがなければ、NPUを使うメリットも大きくもありません。ユーザーとしては、NPUを搭載することで従来よりも処理が大幅に高速化されるような効果を期待したいところです。
Appleは自社開発のApple SiliconにNPU(Neural Engine)を搭載して、本格的なNPU搭載では先行しています。
このNPUを搭載するApple M1を初めて搭載したMacBook Proを初めてリリースしたのが2020年11月17日です。
サードパーティーのAdobeがNPU含め、Apple Siliconに最適化したAdobe Premiere Proの情報を公表したのが2021年7月20日。製品リリースから8ヶ月かかっています。
実際にはデベロッパー向けには事前に様々な情報が提供され、機械学習関連のCore MLというフレームワークも2017年から公表していましたが、それでも製品が出てから、NPU等含めた最適化の利点がすぐに明らかになったわけではありませんでした。
WindowsではNPUを使ったWebカメラの最適化機能「Studio Effects Pack」は使えますが、それ以上の機能がいつ使えるようになるかが重要でしょう。
MicrosoftはNPUを搭載するArmの開発キット、Windows 開発キット 2023 コード名 “Project Volterra” などを提供して、Armはもちろん、NPUを活用したソフトの開発も促進しています。
実際にはNVIDIAのGeForce RTXシリーズ搭載製品ではNPUに該当するTensorコアが2018年のVolta世代から搭載されています。世代毎に機能は違いますが、NPUが一般化し始めようとしている2023年の5年前から使える状態になっています。しかし、2023年現在に販売されている多くのNVIDIA GPU搭載製品では活用自体は出来ますが、その代表的なアプリケーションはNVIDIAが提供する一部のみで、あまり利用されていません。
Ryzen AI搭載のAMD Ryzen 7040シリーズ搭載製品として、記事執筆時点で唯一発表されているASUS Vivobook Pro 15 OLED (M6500)は2023年6月発売です。その数ヶ月後にNPUを活用した何らかのソフトが出たとしても、その機能を利用出来るハード自体が普及していないので、多くの方が本格的にNPUを利用出来る状況にはならないでしょう。
NPUを搭載する製品が2024年くらいからさらに増え、活用するアプリも増えるだろう2024年以降くらいにならないと、WindowsでのNPUは本格的に活用出来そうに無さそうです。