2023年年始に行われたCES 2023に合わせて、CPU、GPUの新モデル、各社の新製品が公表されました。
公表された製品が実際にいつ発売になるかは不明で、春から夏にかけて登場する物が多いです。これらの製品は買っても問題ないのでしょうか、しばらく待つべきかを考えます。
CPU
2023年にインテルから第13世代インテルCoreプロセッサ(Raptor Lake)のモバイル版が、AMDからRyzen 7000シリーズなどのモバイル版が登場し、1月から夏くらいまでには各カテゴリの新製品がこれらのCPUを搭載して登場すると予想されます。
この中で注目なのはNPUのRyzen AIを搭載するAMDのRyzen 7040シリーズです。これはx86としてGPU搭載以外としてNPUを初めて搭載する製品になるようです。
スマートフォンなどではすでに一般的になっているNPUがパソコンでも搭載されるようになります。NPUは推論に使用され、たとえばリアルタイムの画像処理などをCPUやGPUを使わず、NPUを使う事でパフォーマンス向上が期待されています。インテルは次世代のMeteor LakeでNPUを搭載するとしており、AMDが先行する形になっています。Windows 11はすでに対応していますが、2024年くらいからはNPUを活用するソフトもいくつか登場すると思われます。
そのMeteor LakeはインテルがEVUを使用し、チップレット構造になり、かなりの性能向上が見込まれますが、2023年末に出れば良い方で、採用製品は2024年中頃にならないとそろわない可能性もあります。さらに遅れることも十分予想でき、現行の第13世代インテルCoreは1年以上現役製品となる可能性があります。
そんなNPUや次世代CPUはともかく、第13世代インテルCoreは第12世代(Alder Lake)の改良版で、パフォーマンスは1割程度は向上するようですが、そこまで大幅な向上にはならないようです。しかし、ハイエンド製品ではコア数がかなり上がる場合もあるので、用途によっては良い選択になる場合もあります。
AMDもZen 4のRyzen 7000シリーズはパフォーマンスが向上するので、これらの最新CPUはハイエンド製品にはいいのではないでしょうか。
NPU関連については2024年のPC選び NPU搭載モデルまで待つべきかでも解説しています。
GPU
NVIDIAはGeForce RTX 40シリーズのモバイル版を、AMDもRDNA3のRadeon RX 7000M、RX 7000Sを発表しており、CPUと共にGPUも1世代更新されています。
グラフィック性能はもちろんとして、AV1対応など機能面での見所もあります。
AV1の対応
動画はH.264の次となっているH.265(HEVC)が一般的に使われているコーディックですが、H.265よりも圧縮率が高い新しいコーディックとしてAV1が普及しつつあります。AV1はAOMedia Video 1の略で、Alliance for Open Mediaが開発したオープンでロイヤリティフリーのコーディックです。
このコーディックを使った動画配信は始まっており、通信量を従来より下げることが期待されますが、視聴の際にはAV1に対応したデコーダが必要です。AV1で動画を保存するにはエンコーダが必要です。
NVIDIAのGeForce RTX 30シリーズでAV1のデコードに対応、RTX 40シリーズではエンコードとデコードに対応。
IntelのARCはエンコードとデコードに、Xeはデコードに、IntelのIrisやHD Graphicsは11世代Coreからデコードに対応。
AMDはRDNA2(RX6000)やRyzen 7000シリーズでデコードに、RDNA3(RX7000)シリーズでエンコードとデコードに対応。
動画の視聴だけなら主要な製品ではすでにAV1に対応していますが、ハイエンド製品を中心にAV1でのハードウェア動画エンコードも可能になっています。
ソフトウェアエンコードも可能ですが現実的ではありません。
AV1対応製品を選ぶ場合は最新モデルが必要になります。
メモリ、ストレージ
メモリはDDR4より高速で低消費電力なDDR5に対応するなどしていますが、ノートパソコンでもハイエンド中心に最大メモリ64GBに対応する製品が増えつつあります。
ストレージは4K動画などが増えていますが、容量自体は数年前からほとんど増えていません。ハイエンド製品を除くと512GB程度が中心のようです。
メモリは8GBでも使えますが、最低でも16GB、ある程度活用したい方には32GBが現実的な選択肢になっているかも知れません。
フォームファクターやディスプレイ
LenovoのYogaで2画面などが登場していますが、折りたたみや、画面が伸びるような新機軸の製品が将来出てくる可能性はあります。仮に2023年、24中に出たとしても、あくまでも一部製品にとどまり、ここ数年は基本的には通常のクラムシェルや、キーボードが外れたり、画面が回転する2-in-1が中心になると思われます。
画面サイズではちょっとした動きもあり、ハイエンドゲーミングではより大きな18インチが登場、ちょっとした持ち運びにちょうど良い14インチのバリエーションが増える可能性があります。
画面サイズは若干大きくなる場合もありますが、アスペクト比は3:2や16:10も増えるでしょう。
さらに、液晶よりも発色の良い有機EL搭載も増えるかも知れません。有機ELはとくにクリエイター向けには良いでしょう。
Apple MacBookシリーズ
2022年にApple M2を搭載したMacBook Air、MacBook Proが登場しましたが、M1のようなM1 Pro、M1 MaxのM2版は執筆時点の2023年1月は登場していません。
M2ベースのM2 ProやM2 Maxが登場するのか、M3になった後に、M3 ProやM3 Maxが登場するのかはわからないですが、MacBook Proの上位モデルは2023年に登場してもいい頃です。(2月に発売されました)
2023年に買うべきノートパソコン
ハイエンドのゲーミングPC、クリエイター向けの製品などは、NVIDIAのGeForde RTX 40シリーズなどを採用し、第13世代インテルCoreや、AMD Ryzen 7000シリーズなどを選ぶのが良いでしょう。
薄型のプレミアム製品も最新のCPUを搭載した製品が登場するでしょうが、若干の性能向上を気にしないなら、インテルの場合なら第12世代インテルCoreでもそこまで問題はないかいも知れません。
2023年に購入する場合、2020年以前の製品からの買い替えになると思われます。Windows 11に対応する2018年発売の第8世代インテルCore以前か以後かくらいで、買い替えの判断をすると良いかもしれません。第8世代以前の場合はそろそろ買い替え、第8世代、9世代くらいの場合は買い替えを考える時期に入っています。
ゲーミングやクリエイティブ用途の場合は、NVIDIA GeForceならRTX世代以前の場合は買い替えればパフォーマンスの大幅向上が期待できます。
インテルの次世代CPU(Meteor Lake)を待つべきかという考え方もありますが、2024年中頃に搭載製品が登場するとして、CPU性能が向上しても、GPU性能はそのタイミングでは現行よりも大幅に向上するモデルは出てこない可能性が高いです。ゲームではCPUよりもGPUの方がパフォーマンスには影響します。
プレミアムモバイル製品を選ぶにしても、1年程度は待たないといけないし、待ったかいがある製品がすぐに登場するとは限りません。
もしも待つならMeteor Lakeやその後継と次世代のGPUが登場する頃、2025年頃まで待つことになるかも知れません。
つまり、2年くらい待つか、今買うかです。
各カテゴリの買い時予想
ハイエンド製品の買い時 2023年前半にでる最新製品
プレミアムモバイル製品 2023年に出る最新製品でも良いし、2022年の製品でも十分かも
バリュー価格帯 いつ買っても良し
ARM系Windows製品 対応ソフトがあればいいが無理して買う必要なし
Mac系 Apple Silicon次第だが、MacBook Proのハイエンド以外はいつ買っても良し