Apple M1搭載のMacBookシリーズやMac miniは何をやらせても高速なことが話題です。
M1はARMコアを採用したApple独自開発のCPUで、高効率の4コアと高性能な4コアの合計8コアに加えて、機械学習や専用の機能が組み込まれています。
このような基本的な構成に加えて最先端の半導体製造プロセスを使っているため、低消費電力で利用出来る事も特徴で、これを採用したMacBookなどは高速なのに低消費電力で動作するため、全体的な満足度も高いです。
なぜここまで良い製品に仕上がったのでしょうか。
同時期に発売されたIntelのCore i7 1165G7(4コア8スレッド 1.2GHzから2.8GHz)と比較すると、シングルコアの性能が同等で、マルチコアの性能は上回っており、CPUの性能自体が他社と比べると大幅に高い事がわかります。
M1の製造プロセスはIntelの最新CPUと比較すると1世代進んでいます。低消費電力で動作するのはこの製造プロセスが大きく影響しています。
参考 Geekbench
なお、インテルは10nmプロセス、M1を作っているTSMCは5nmプロセスですが、このCPUの製造プロセスの数字がどこの数字なかは各社異なり、この数字だけでは単純な比較はできません。
性能自体は、AppleのiPhone用のCPU設計で培った経験と、Mac用に強化した様々な機能、それに合わせて最適化されているOSが影響しています。
AppleはOS、アプリを自社で開発しており、どの機能がCPUに搭載していれば、高速に動作するかを理解しています。さらに古い機種や幅広い製品に対応する必要は無いので、今となっては不要になったような古い機能は切り捨ててしまえます。
このような状況でOSが活用するために画像処理用の回路、機械学習用の回路など、他にも様々な機能をM1に搭載しています。
つまり、Appleは最新の環境に合わせて、CPUだけでなくOSも含めて全てをコントロール可能な状態で、それに合わせて全てを自社の製品を最高にするために提供できます。
こうしてできあがったM1とOS、それを組み込んだMacBookシリーズをAppleは提供し、一気にIntelなどのx86版CPUを搭載したノートパソコンの性能や全体的な満足度を大幅に上回ってしまいました。
今後もM1の改良版なのかM2の改良版、MacBookやiMac、Mac Proもしくは全く別シリーズを提供する事が考えられ、当面Appleの優位は続きます。
競合他社のIntelがM1と同等のプロセスでIntelが製造するのは2023年頃と予想されています。ARMを搭載するWindowsに関してはMicrosoftやARM版CPUの高性能版がいつ出てくるかによります。
仮にQualcommが高性能なWindows向けARM版のCPUを提供するにしても、Appleの用に全てを自社の支配下に出来るわけでは無いので、Appleに追いつくにはかなり厳しい状況が続きます。